ホームページの管理会社を変える手順と、引き継ぎ後に壊れやすい所
ホームページを作ってくれた制作会社が倒産したようで、電話もメールも通じない。直したい箇所があるのに、どこにログインすればいいのかも分からない。ホームページの管理会社を変える必要が出てくるのは、こういう状況です。倒産のほかにも、廃業、担当者の退職で連絡がつかない、「古いので対応できない」と断られた、という形があります。
この記事は、制作会社に作ってもらった WordPress のサイトを、別の管理会社(または自社)に引き継ぐときの手順です。前半は、自社で押さえておくべき名義とログイン情報の確かめ方。後半は、引き継いだ直後に壊れやすい所と、その直し方の費用です。後半は、当社が2026年10月から11月にかけて引き継いだ4サイトで実際に起きたことをもとに書いています。
伊藤制作会社と連絡が取れなくても、ドメインとサーバーの名義が自社なら、ホームページは自社のものとして動かし続けられます。先に名義を確かめてください。
連絡が取れなくても、名義が自社ならホームページは動き続ける
ホームページは、ドメイン(住所)、サーバー(土地)、WordPress(建物)の3つでできています。制作会社が消えて困るのは、このどれかが制作会社の名義になっていて、自社では触れない場合だけです。名義が自社なら、制作会社がいなくても止まりません。引き継ぎの最初の仕事は、3つの名義を1つずつ確かめることです。
ドメインの名義は WHOIS で今日分かる
ドメインの登録者名は、ドメインの管理機関が公開している WHOIS(フーイズ)で誰でも調べられます。.jp と .co.jp は JPRS(日本レジストリサービス)の WHOIS(whois.jprs.jp)で、ドメイン名を入れるだけです。汎用JPドメイン名で公開されているのは、登録者名、登録年月日、有効期限、状態、ロック状態の5つで、メールアドレスや住所は出ません(JPRS「JP 公開・開示対象情報一覧」2023年9月改訂)。
登録者名が自社なら、ドメインは自社のものです。制作会社の名前になっていたら、制作会社と連絡が取れるうちに、登録者を自社に変えてもらう必要があります。JPRS の規則では、ドメインを別の会社に移す「移転登録申請」は、今の登録者(この場合は制作会社)が相手との合意のうえで、そのドメインを管理している指定事業者(お名前.com やムームードメインなどの登録業者)を通して申請するものと定められています(汎用JPドメイン名登録等に関する規則 第25条)。制作会社側の手続きが要るので、連絡が取れるうちに頼んでください。連絡が取れない、倒産した、という場合は、そのドメインを管理している指定事業者に状況を伝えて相談します。どの指定事業者が管理しているかは WHOIS に出ませんが、登録者か連絡窓口であることを JPRS に示せば教えてもらえます。.com や .net は管理機関が違うので、ICANN Lookup など各機関の WHOIS で同じように登録者名を見ます。
サーバーの契約と支払いが自社名義か確かめる
サーバーは、契約者が誰で、料金を誰が払っているかで決まります。請求書やクレジットカードの明細に、エックスサーバー、さくらインターネット、お名前.com、ロリポップなどの名前があれば、自社契約です。何も見当たらなければ、制作会社が自社の契約の中にホームページを置いていた可能性があり、制作会社の契約が切れた時点でサイトも消えます。この場合は、ファイルとデータベースを先に取り出して、自社名義のサーバーに移すことが引き継ぎの中心になります。
ログイン情報は3つ、サーバーに入れれば作り直せる
引き継ぎ先が必要とするログイン情報は3つです。サーバーの管理画面(契約者のID・パスワード)、FTP(ファイルを置く場所に入るためのもの。サーバーの管理画面から再発行できます)、WordPress の管理画面(ログインURL・ユーザー名・パスワード)。3つのうち、サーバーの管理画面に入れれば、残りの2つはそこから作り直せます。逆に、WordPress のパスワードだけ分かってもサーバーに入れなければ、バックアップもPHPの切り替えもできません。制作会社から何ももらえない場合でも、サーバーの契約が自社なら、サーバー会社に契約者として再発行を頼めます。
旧会社の解約は、データを取ってから最後に
順番を間違えると、戻せなくなります。制作会社の契約を解約したり、支払いを止めたりするのは、新しい場所にサイトが動いてからです。先にやるのは、サーバー上の全ファイル(FTPでダウンロード)とデータベース(サーバーの管理画面の phpMyAdmin などからエクスポート)を手元に取ること。この2つがあれば、制作会社の契約が消えても、別のサーバーに同じサイトを建て直せます。
WordPress の管理者が制作会社だけなら、所有権を自社に移す


名義の話で見落とされやすいのが、WordPress の中の管理者です。制作会社が作ったサイトでは、管理者アカウントが制作会社のものだけで、自社の担当者には「編集者」の権限しか渡されていないことがあります。編集者では、プラグインの更新も、テーマの変更も、新しい管理者の追加もできません。制作会社がいなくなった瞬間、サイトの中の「持ち主」がいなくなります。
管理者メールが制作会社なら、復旧の案内も届かない
WordPress には、ユーザーごとのメールアドレスとは別に、サイト全体の「管理者メールアドレス」があります(管理画面の「設定」→「一般」)。ここに届くのは、コメントの承認、ユーザー登録、本体の更新やメンテナンスの知らせ、プラグインやテーマの問題、そしてサイトが致命的なエラーで止まったときのリカバリーモードの案内です。WordPress の公式サポートは、この欄について「サイトを開発者や代理店が最初に設定した場合は、管理者メールアドレスが自社でアクセスできるアドレスを指しているか確認してください。リカバリーモードと重大なエラーの通知はこのアドレスに送られます」と書いています(Settings General screen・2026年7月更新)。
ここが制作会社のアドレスのままだと、サイトが真っ白になったときに復旧用のリンクが制作会社のメールに届き、自社には何も届きません。引き継ぎの最初に見る1行です。
自社の管理者を追加し、旧会社の権限を下げる
管理者でログインできるなら、順番は3つです。「ユーザー」→「新規追加」で自社の担当者を権限グループ「管理者」で作る。新しいアカウントでログインし直して、管理者として動くことを確かめる。そのあとで、制作会社のアカウントの権限を「購読者」に下げるか、削除する。削除するときは、そのユーザーが書いた投稿を別のユーザーに引き継ぐ画面が出るので、消さずに引き継ぎます。制作会社と連絡が取れる間なら、このときに「貴社のアカウントは権限を下げます」と伝えておくと、あとで揉めません。
管理者メールは新しいアドレスの確認だけで変えられる
管理者メールアドレスを自社のものに変えると、WordPress は新しいアドレスに確認メールを送り、その中のリンクを押すまで新しいアドレスは有効になりません。それまでは今のアドレスが有効のままです(同じ公式サポートの記述)。つまり、制作会社のメールが受信できなくても、自社のアドレスで確認メールを受け取れば変更は完了します。変更後に管理画面の上に「確認待ち」の表示が出るので、自社のメールを見てリンクを押してください。届かないときは、迷惑メールフォルダと、サイトからメールが送れているか(お問い合わせフォームが届くか)を見ます。
ログインできなくても、サーバーから取り戻せる
管理者のログイン情報が一切なく、パスワード再設定のメールも制作会社に飛ぶ、という状態でも、サーバーの管理画面に入れるなら取り戻せます。データベースのユーザー一覧(wp_users)を直接書き換えて新しい管理者を作る、または WP-CLI でユーザーを追加する、のどちらかです。ここは手順を書いても、画面を1つ間違えるとサイトが消えるので、サーバーに入れることだけ確かめて、作業は引き継ぎ先に頼んでください。サーバーの管理画面に入れれば、引き継ぎ先はそこから全部できます。
有料プラグインのライセンスが、制作会社名義のまま切れていないか確かめる
制作会社は、お問い合わせフォームや施工実績の入力欄を作るために、有料のテーマやプラグインを自社のライセンスで入れていることがあります。制作会社がいなくなると、このライセンスの更新も止まります。サイトは動き続けるので気づきにくく、PHP を切り替えたときに初めて表面に出ます。
ライセンス切れはプラグイン一覧で見つかる
管理画面の「プラグイン」一覧で、更新の通知が出ているのに更新ボタンが押せない、「ライセンスを有効化してください」「更新を受け取るにはライセンスが必要です」のような文言が出ているものが、ライセンスの切れた有料プラグインです。テーマは「外観」→「テーマ」で同じように見ます。名前の末尾に PRO、Premium、Pro Add-On と付いているものは有料版です。無料版のプラグインは、wordpress.org のページに最後に更新された日と「検証済み最新バージョン」が出るので、これと合わせて一覧にします。
切れたままだと PHP の切り替えで壊れる
有料プラグインは、ライセンスが有効なときだけ自動更新を受け取ります。たとえば Advanced Custom Fields(ACF)PRO は、ライセンスキーを有効化すると自動更新と PRO の機能が使え、期限が切れると新しい PRO フィールドは作れなくなりますが、サイト側の表示はライセンスの状態に影響されません(ACF 公式「License Activation」)。表示が変わらないので、切れていても誰も気づかない。ただ、更新が止まった版のまま PHP を 8 系に上げると、そのプラグインが PHP 8 に対応していない場合にサイト全体が止まります。引き継ぎのあとに気づきにくい事故の1つです。
無料版で足りれば置き換え、足りなければ買い直す
ライセンスが切れた有料プラグインは、2つの直し方があります。使っている機能が無料版の範囲なら、無料版に置き換える。無料版に無い機能を使っているなら、自社名義でライセンスを買い直す。どちらかを決めるには、「そのプラグインでサイトのどこを作っているか」を見ます。当社が引き継いだ建設会社のサイトでは、ACF PRO 5.8.4 がライセンス切れで更新できず、使っていたのは施工実績の「所在地」の文字の欄1つだけだったので、無料版の ACF 6.8.10 に置き換えました。入力済みの所在地はそのまま残っています。同じサイトで、更新できず脆弱性が報告されていた WP All Import Pro は使われていなかったので削除しました。
引き継ぎ後に壊れやすいのは本体・PHP・独自テーマ・プラグインの4つ
名義とログインがそろって、いざ引き継ぎ先が中を見ると、別の問題が出てきます。制作会社の保守が止まった日から、WordPress の中身もそこで止まっているからです。当社が2026年10月から11月に引き継いだ4サイトで、引き継いだ直後に手を入れた所は、次の4つに集まります。
- WordPress 本体と PHP が、保守が止まった日のまま止まっている
- 制作会社が作った独自テーマが、新しい PHP でそのまま動かない
- 開発が止まったプラグインに、更新先が無い
- サーバー会社が PHP を切り替えた日に、サイトが表示できなくなる
本体と PHP は保守が止まった日のまま
制作会社が更新を担当していたサイトは、担当がいなくなった日から更新が止まります。引き継いだ4サイトの引き継ぎ時点の版は、WordPress が 4.7.29、5.2.5、6.2.14、6.9.11、PHP が 7.2、7.4、8.1、8.3 でした。建設会社は WordPress 5.2.5 で、2019年の版です。テーマの設定で自動更新が止められていたため、約7年分の不具合と安全面の修正が入っていませんでした。司法書士事務所は PHP 7.2 で、7.2 は2020年11月30日にサポートが終わっています(php.net)。PHP が古いと WordPress 本体の最新版が入らないので、本体もプラグインも更新できずに止まっていました。放置したサイトで実際に何が起きるかはPHP が古いとどうなるかの記事に書いています。
引き継ぎの見積りで最初に聞くのは、「今の WordPress と PHP の版はいくつで、修正が止まっている版か」です。多くの場合は外から分かるので、ログイン情報が無くても答えられます。
独自テーマは新しい PHP でそのまま動かない
制作会社が作るサイトでは、デザインとページの作りを決める「テーマ」を、そのサイト専用に書いていることがあります。市販のテーマと違って配布元の更新が無いので、PHP が新しくなって書き方のルールが変わると、直す人がいない限り壊れたままです。引き継いだ4サイトは4つとも専用テーマで、そのうち3サイトでテーマのコードを PHP 8.3 向けに直しました。製造業の会社サイトは functions.php、header.php、footer.php の3つ。司法書士事務所はテーマと検索プラグインの計9ファイル。建設会社はテーマと、送信ボタンを押したところで止まる作りだったお問い合わせフォーム。残る1サイト(リノベーション会社)は PHP 8.1 から 8.5 への切り替えで、テーマの修正なしで通りました。切り替え後に出るエラーの直し方はバージョンアップのエラーの記事と500エラーの記事にあります。
引き継ぎ先に「テーマは独自ですか、市販ですか」と聞かれたら、管理画面の「外観」→「テーマ」で有効になっているテーマの名前を伝えてください。名前が会社名やサイト名で、作者が制作会社なら独自テーマです。
開発が止まったプラグインに、更新先が無い
WordPress のプラグインは、作者が開発をやめると更新が出なくなります。wordpress.org のプラグインのページには「このプラグインは WordPress の最新3回のメジャーリリースに対してテストされていません」という警告と、最後に更新された日が出ます。製造業の会社サイトのフォームの確認画面に使われていた Contact Form 7 add confirm は、最後の更新が2018年2月27日で、検証済みの WordPress は 4.9 までです。司法書士事務所のサイト内検索に使われていた Search Everything は、最後の更新が2017年3月31日で、検証済みは 4.7 まで。同じサイトには、ほかにも開発が止まったプラグインが4つ残っていました。
止まったプラグインは、新しい PHP で動けばそのまま、動かなければコードを直すか別のプラグインに置き換えるか、の判断になります。製造業の会社サイトの確認画面は、テーマ側の調整で動かしました。司法書士事務所の検索は、プラグインのコードを直して PHP 8.3 で動かし、次の機会に別の検索プラグインへ置き換える前提にしています。置き換えが必要なプラグインの数は、見積りの金額に直接響くので、引き継ぎ先には「止まっているプラグインがいくつあるか」を先に聞いてください。
サーバーの PHP 切り替えの日に表示が止まる
製造業の会社サイトは、サーバー会社が PHP を 8.3 に切り替えたあとにホームページが表示できなくなりました。中に入っていた WordPress 4.7 とプラグインが新しい PHP に対応していなかったからです。この状態で管理画面を開くと、プラグイン一覧などの画面が開かず、データベースの管理画面も古い版が動かずに開けませんでした。応急の修正で表示を戻してから、本体を 7.1.4 に上げ、テーマを直して、PHP 8.3 で正しく動く状態にするまでに10月28日から11月2日までかかっています。サーバー会社によっては、古い PHP を止めて新しい版に切り替えることがあります。切り替えの予告が届いているなら、その日より前に引き継ぎ先を決めてください。真っ白になったあとの戻し方はワードプレスが壊れた時の記事にあります。
引き継ぎ後のバージョンアップは、1回の作業で全部済ませる
上の4つは、別々の問題に見えて、直す作業は1つです。本番のコピーを作り、そこで本体・プラグイン・テーマを最新にし、独自テーマと止まったプラグインを新しい PHP で動くように直し、PHP を切り替え、全ページとフォームを確かめてから本番に同じ手順で反映する。4サイトとも、この1回の作業で済んでいます。本体だけ、PHP だけ、と分けると、そのたびに壊れる所を探し直すことになります。
連絡が取れなくても、URL だけで見積りできる
当社のWordPress・PHP バージョンアップ代行は、全部込み ¥24,800〜(税込)で、WordPress 本体・プラグイン・テーマの更新と PHP の切り替え、本番のコピーでの事前確認、作業前のバックアップまで含みます。他社が作ったサイトも同じ料金です。制作会社と連絡が取れない、ログイン情報が分からない場合も、調査からご相談いただけます。見積りは URL を送っていただくだけで、WordPress・PHP・プラグイン・サーバーの版を外から確かめて、当日に全部込みの金額を1通のメールでお返しします。ログイン情報は不要です。追加費用をご相談するのは、画像や記事が大量でテスト環境の作成に時間がかかる規模のサイトと、開発が終了したプラグインの代わりにコードの書き換えが大量に必要な場合だけで、どちらも本番を触る前にお伝えします。
本番のコピーで先に試し、本番は1晩で切り替える
引き継いだ4サイトとも、本番と同じ状態のコピー(テスト環境)を作って、そこで更新と確認を一通り済ませてから本番に反映しました。本番の作業時間は、建設会社が土曜の夜から日曜の深夜、リノベーション会社が水曜22時から木曜0時台、司法書士事務所が10月30日の午後から夜、製造業の会社サイトが11月1日から2日です。本番での作業は夜の1回で終わり、サイトは基本的に止めず、公開したまま行います。見た目の確認は作業前後の画面を3つの画面幅で撮り比べて行います。司法書士事務所は31ページを3つの画面幅で撮り、スマホでメニューを開いた画面を加えた98枚で差分なし、リノベーション会社は50ページを同じ方法で撮った200枚のうち185枚が1ピクセルも違わず一致し、残り15枚もスライドや地図の読み込みの差だけでした。
費用の相場は、別の記事で6社を比べている
引き継ぎ後のバージョンアップに、よそではいくらかかるかは、PHP バージョンアップの費用相場の記事とWordPress のアップデート費用の記事に、2026年10月時点の公開料金をまとめています。この記事では金額の比較はしません。見積りを取るときに「他社が作ったサイトは割高か対象外か」を聞くと、引き継ぎに慣れている会社かどうかが分かります。
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新しい管理会社には、名義・ログイン・版の一覧を1枚で渡す
ここまで確かめたことを、1枚の表にして引き継ぎ先に渡します。項目は8つ。空欄があっても構いません。「分からない」が分かっていれば、引き継ぎ先はそこから調べます。
| 項目 | どこで見るか | 自社名義か | 引き継ぎ先に渡すもの |
|---|---|---|---|
| ドメイン | JPRS の WHOIS(.jp)/各機関の WHOIS(.com など) | 登録者名が自社か | ドメイン名、登録者名、有効期限、登録業者(指定事業者)の名前 |
| サーバー | 請求書・カード明細、サーバー会社の管理画面 | 契約者が自社か | サーバー会社名、プラン、契約者名、PHP の版、管理画面のログイン情報 |
| FTP | サーバーの管理画面(再発行できる) | ― | FTP のホスト名・ユーザー名・パスワード(なければ「再発行可」と書く) |
| WordPress の管理者 | 管理画面の「ユーザー」 | 自社の管理者アカウントがあるか | ログインURL、自社の管理者のユーザー名、管理者メールアドレスが自社か |
| テーマ | 「外観」→「テーマ」 | 独自か市販か、有料ならライセンス名義 | テーマ名、作者、有料ならライセンスの名義と期限 |
| プラグイン | 「プラグイン」一覧、wordpress.org の各ページ | 有料のライセンス名義 | 有料プラグインの名前とライセンス名義、更新が止まっているものの名前 |
| バックアップ | サーバーの管理画面、バックアップのプラグイン | ― | 自動バックアップの有無、どこに、いつの分まであるか |
| メールと解析 | サーバーの管理画面、Google アナリティクス・サーチコンソール | 所有者が自社か | ドメインのメールをサーバーで使っているか、アナリティクスとサーチコンソールの所有者 |
8項目のうち、引き継ぎ先が自分で調べられるのは「テーマ」「プラグイン」「PHP の版」で、多くの場合は外から分かります。自社でしか分からないのは、名義、契約、ログイン情報、メールの使い方です。表の右の列がこの順に埋まっていけば、引き継ぎは止まりません。
実際の対応事例
制作会社が作ったサイトを引き継いで、バージョンアップした4件です。いずれも依頼の時点で制作会社と連絡は取れていましたが、更新は止まっていました。数字はそれぞれの作業報告書のものです。対応事例のページにも載せています。
PHP の切り替えで止まった製造業の会社サイト
サーバー会社が PHP を 8.3 に切り替えたあと、ホームページが表示できなくなった。中の WordPress は 4.7.29 で、使用中のプラグイン5つも古い版(Contact Form 7 4.6.1 など)。管理画面はプラグイン一覧などが開かず、データベースの管理画面も開けない。ページを開くたびにブラウザでエラーが312件
10月28〜29日にサーバーの中を調べ、作業前のデータベースを保存して、新しい PHP で止まっていた箇所を応急的に直して表示を回復 → 10月31日にテスト環境で本体・プラグインを更新して全ページとフォームを確認 → 11月1〜2日に本番を更新。専用テーマの functions.php・header.php・footer.php を新しい Contact Form 7 に合わせて修正。確認画面のプラグイン(Contact Form 7 add confirm・2018年2月で開発停止)はテーマ側の調整で動かした
WordPress 4.7.29 → 7.1.4。全26ページを3つの画面幅で撮り比べ、78枚中12枚が想定どおりの変化(スライダーが本来の動きに戻った、旧方式のスパム対策の枠が消えた)。ブラウザのエラー312件 → 0件。3つのフォームは確認画面から送信まで本来の流れに
7年間、自動更新が止まっていた建設会社
WordPress 5.2.5(2019年の版)。テーマの設定で自動更新が止まっていたため、約7年分の修正が入っていない。PHP 7.4 はサポート終了。有料の ACF PRO 5.8.4 はライセンスが切れて更新できず、WP All Import Pro とあわせて脆弱性が報告されていた
確認用の複製で先に更新し、送信ボタンで止まる作りだったお問い合わせフォームとテーマを PHP 8.3 で動くように修正 → 10月31日(土)夜から11月1日(日)深夜に本番を作業。ACF PRO は使っていたのが施工実績の「所在地」の文字欄1つだけだったので無料版 6.8.10 に置き換え、WP All Import Pro は削除。小さな更新が自動で入るように設定
WordPress 5.2.5 → 7.1.4、PHP 7.4 → 8.3、プラグイン更新9・置き換え1・削除2。主な28ページを3つの画面幅で見比べて違いなし。表示が始まるまでの時間は約3分の1(確認用の複製で測定)。データベース(MySQL 5.7)だけは、プランの都合で選べず据え置き
PHP 7.2 のまま6年止まっていた司法書士事務所
PHP 7.2.34 のまま。7.2 は2020年11月にサポートが終わっていて、本体もプラグインも最新版が入らず、更新待ちのプラグインが13件たまっていた。複数のサイトを1つで管理するマルチサイトで、公開中のページは245ページ
10月29日に本番のファイルとデータを手元に複製して検証 → PHP 8.3 でサイト内検索(Search Everything・2017年で開発停止)がエラーになることが分かり、プラグインのコードを先に直して本番へ → 10月30日に依頼主が PHP を 8.3 に切り替え → 検証で決めた順番で本体とプラグインを更新。テーマと検索プラグインで計9ファイルを修正。更新の準備中に見つけた「お知らせを公開するとエラーになる」不具合と、2017年から止まっていた内部データの更新も直した
PHP 7.2.34 → 8.3、WordPress 6.9.11 → 7.1.4、プラグイン15個を最新に。代表31ページを3つの画面幅で撮り、スマホでメニューを開いた画面を加えた98枚すべてで差分なし。開発が止まったプラグインは5件残っており、次の機会に置き換える前提
独自URL 1,340件を守ったリノベーション会社
WordPress 6.2.14、PHP 8.1.34。専用テーマで、プラグイン14個が古い版のまま。独自に設定した URL が1,340件あり、更新で変わると検索からの流入に響く
10月26〜27日に検証環境で予行演習し、更新の順番と元に戻す方法を手順書に → 10月28日22時から簡易ページを表示して本番を更新 → 翌29日午前に依頼主が確認し、11時31分に公開を再開。検証で「SEO プラグインが古いまま本体だけ 7.1 にすると全ページのタイトルが変わる」ことが分かっていたので、本体の直後に SEO プラグインを更新
WordPress 6.2.14 → 7.1.3、PHP 8.1.34 → 8.5.12。テーマの修正なし。独自 URL 1,340件すべて正常。50ページを3つの画面幅で撮り、スマホでメニューを開いた画面を加えた200枚のうち185枚が1ピクセルも違わず一致、残り15枚もスライドや地図の読み込みの差だけ。サーバーの応答は 940ms → 730ms
4件に共通しているのは、引き継いだ時点で本体か PHP のどちらかが止まっていて、専用テーマか止まったプラグインのどちらかに手を入れる必要があったことです。どれも、名義とサーバーのログイン情報がそろっていたので、調査から本番の切り替えまで止まらずに進みました。
よくある質問(FAQ)
- 制作会社が倒産しました。ドメインはどうなりますか?
-
まず JPRS の WHOIS(.jp の場合)で登録者名と有効期限を見てください。登録者名が自社なら、ドメインは自社のもので、管理している指定事業者(登録業者)に連絡して支払いと連絡先を自社に向ければ続きます。登録者名が制作会社なら、登録者を自社に移す申請は今の登録者である制作会社が指定事業者を通して行うものなので、連絡が取れるうちに頼んでください。連絡が取れない、倒産した、というときは、そのドメインを管理している指定事業者に状況を伝えて相談します。どの指定事業者かが分からないときは、登録者か連絡窓口であることを示して JPRS に問い合わせると教えてもらえます。
- ログイン情報が一切ありません。それでも引き継げますか?
-
サーバーの契約が自社名義なら、引き継げます。サーバー会社に契約者として管理画面のパスワードを再発行してもらえば、そこから FTP の再発行、データベースの取り出し、WordPress の管理者の作り直しまでできます。サーバーの契約も制作会社名義で、連絡が取れない場合は、サイトを外から丸ごと保存して別のサーバーに建て直す方法になります。当社の見積りは URL だけで、ログイン情報が分からない状態からの調査もお受けしています。
- 引き継ぎと同時にリニューアルしたほうがいいですか?
-
先に、今のサイトを新しい WordPress と PHP で動く状態にしてから考えることを勧めます。リニューアルは数か月かかり、その間も古いサイトは古いまま公開され続けます。引き継ぎ時点のバージョンアップは1回の作業で済み、終わったあとは管理画面から本体とプラグインを更新できる状態になります。動く状態にしておけば、リニューアルの時期は自社の都合で決められます。
- 引き継いだあと、毎月いくらの保守を頼むべきですか?
-
当社は月額の保守をやっていません。引き継ぎ時点のバージョンアップで小さな更新が自動で入る設定にしておけば、年に1回ほど本体とプラグインをまとめて更新するだけで、今回のような大がかりな作業にはなりにくいです。司法書士事務所の報告書にも、同じことを書いています。月額が要るのは、記事の更新やページの追加を毎月頼む場合で、それは保守ではなく制作の費用として別に考えます。
まとめ
- 制作会社と連絡が取れなくても、ドメイン・サーバー・WordPress の管理者が自社名義なら、ホームページは動かし続けられる。ドメインの登録者名は WHOIS で今日分かり、登録者の変更は指定事業者を通す
- WordPress の管理者メールアドレスが制作会社のままだと、サイトが止まったときの復旧の案内が自社に届かない。自社の管理者を追加してから旧会社の権限を下げ、管理者メールは新しいアドレスへの確認メールで変える
- 有料テーマ・プラグインのライセンスが制作会社名義のまま切れていないか確かめる。表示は変わらないので気づきにくく、PHP の切り替えで初めて壊れる
- 引き継いだ直後に壊れやすいのは、止まっていた本体と PHP、制作会社の独自テーマ、開発が止まったプラグイン、サーバー会社の PHP 切り替えの4つ。4サイト中3サイトでテーマのコードを直した
- 直す作業は、本体・テーマ・プラグイン・PHP を本番のコピーで試してから、本番は夜の1回で済ませる。当社は全部込み ¥24,800〜(税込)、他社が作ったサイトも同じ料金、見積りは URL だけ
- 今の WordPress・PHP・プラグインの版と、独自テーマ・止まったプラグインの有無を外から確認(無料・ログイン情報不要)
- WordPress 本体・プラグイン・テーマの更新と PHP の切り替え、テスト環境での事前確認と作業前のバックアップまで全部込み
- 本番のコピーで先に試して直してから本番へ。作業前のバックアップつき
- 他社が作ったサイトも同じ料金。制作会社と連絡が取れない、ログイン情報が分からない場合も調査からご相談いただけます
- 営業の電話・メールはしません
合同会社キューブリック まずは状況をお聞かせください。作業前に内容と金額をお伝えし、追加料金はいただきません。
代表社員 / WEBエンジニア追加料金をご相談するのは、画像や記事が大量でテスト環境の作成に時間がかかる規模のサイトと、開発が終了したプラグインの代わりにコードの書き換えが大量に必要な場合だけです。相見積もり歓迎・営業はしません。

