PHP Compatibility Checkerは使えない?代わりの確認方法

PHP を上げる前に、テーマとプラグインが新しい PHP で動くか調べたい。そう思って検索すると、「PHP Compatibility Checker」というプラグインを勧める記事がたくさん出てきます。入れて「Scan site」を押すと、どのプラグインにも赤い枠で「Response status: failed」。何度やっても同じです。
先に答えを書きます。このプラグインは2026年10月の時点では動きません。開発元が保守を終え、結果を取りに行く先の外部サービス(wptide.org)が消えたためです。動いていたころも、検査できたのは PHP 8.0 までで、8.1 以降は見ていませんでした。代わりの確認は、プラグイン一覧で最終更新と必要な PHP を見る、テスト環境で実際に PHP を切り替える、コードを機械で検査する、の3段階で行います。
根拠は、WordPress.org のプラグインページに書かれている公式の文言、開発元の GitHub の状態、手元の WordPress で実際に実行した結果と通信の記録、wptide.org のドメインの状態です。書いているのは、WordPress の修正・バージョンアップ代行を行っている合同会社キューブリックの伊藤です。
伊藤このプラグインを「入れてから PHP を上げる」と書いた記事は、2017〜2020年のものが多い。当時は正しい手順でした。今は、入れても結果が返ってこないプラグインが1つ増えるだけです。
開発元が保守を終えた。公式ページに警告が出ている
WordPress.org のプラグインページを開くと、説明文の先頭にこう書かれています。
WARNING: PHP Compatibility Checker is no longer actively maintained. This software is still free to use under the license provided, but users should be aware that it is not currently maintained. No additional releases, including security releases, will be made available.
WordPress.org「PHP Compatibility Checker」
訳すと「PHP Compatibility Checker は保守されていません。ライセンスの範囲で引き続き無料で使えますが、今後は修正版も、セキュリティ修正も出ません」という意味です。開発元の WP Engine の GitHub のリポジトリ(wpengine/phpcompat)はアーカイブ(読み取り専用)になっていて、最後の更新は 2026年7月20日です。WordPress.org の「最終更新」も同じ日付ですが、版は 1.6.3 のまま変わっていないので、警告文などの説明を足した更新と考えられます。
| 項目 | 2026年10月23日時点 |
|---|---|
| 現行版 | 1.6.3 |
| WordPress.org の最終更新 | 2026年7月20日(版は 1.6.3 のまま) |
| 動作確認済みの WordPress | 6.4.13(現行は 7.1.3。「最新3回のメジャーリリースでテストされていません」の表示あり) |
| 必要な PHP | 5.6 以上 |
| 有効インストール数 | 200,000 以上 |
| 評価 | 5点中 2.7(131件のうち★1が66件) |
| 開発元の GitHub | アーカイブ済み(最後の更新 2026年7月20日) |
有効インストールが20万を超えているのは、昔の記事を見て入れたまま、消していないサイトが多いからだと考えられます。保守が終わったプラグインは、動く動かない以前に、セキュリティ修正が出ないという理由で残しておかないほうがよいものです。
「failed」は、結果を取りに行く先が消えたから


古い記事に出てくる画面と、今の画面は中身が違います。1.5 系までは、プラグインが自分のサーバーの中でテーマとプラグインのコードを読んで検査していました。1.6.0(2022年)で作りが変わり、検査そのものをやめて、WordPress.org のプラグインを常時検査している外部サービス「Tide」(wptide.org)に、結果を問い合わせる方式になりました。変更履歴にはこう書かれています。
1.6.0 Changed from running PHP Compatibility scans on your WordPress server to using scan data from Tide. Removed phpcompat WP-CLI command.
同プラグインの変更履歴
そして 2026年10月の時点で、その wptide.org は存在しません。手元で確かめた内容を書いておきます。
- Google(8.8.8.8)と Cloudflare(1.1.1.1)の DNS に wptide.org を問い合わせると、どちらも「Non-existent domain」(存在しないドメイン)。10月23日に確認
- ドメインの登録情報(RDAP)では、状態が clientHold(DNS に載らない状態)で、最終変更が 2026年10月18日
- Wayback Machine に残っている最後の正常な保存は 2026年6月6日
プラグインは、ボタンを押すとプラグインごとに https://wptide.org/api/v1/audit/wporg/plugin/(プラグイン名)/(版) へ問い合わせます。宛先が無いので通信は「ERR_NAME_NOT_RESOLVED」で失敗し、画面には次のように出ます。


メッセージは「検査が中断されたので、もう一度スキャンしてください」ですが、何度押しても同じです。中断ではなく、問い合わせ先がもう無い、が実態です。
有料のテーマは、動いていたころも対象外だった
1.6 系は WordPress.org に登録されているプラグインとテーマの結果しか持っていません。公式の FAQ に「WordPress.org に無いプラグインやテーマは、Tide が検査も結果の返却もできない」とあります(同プラグインの FAQ)。つまり有料テーマ、有料プラグイン、制作会社が作った自作テーマは、もともと対象外でした。PHP を上げて壊れやすいのはまさにその自作テーマや古い有料テーマなので、動いていたころも、一番知りたいところを見てくれないプラグインだったことになります。
検査できたのは PHP 8.0 まで。8.1 以降は見ていない
説明文には、今もこう書かれています。
Use this plugin to check your site for compatibility up to PHP 8.0!
WordPress.org「PHP Compatibility Checker」
「PHP 8.0 までの互換性を確認できます」。8.1 で追加された「null を文字列の関数に渡すと非推奨」、8.2 の「宣言していないプロパティへの代入は非推奨」、8.4 の「暗黙の nullable 型は非推奨」、8.5 の「null を配列のキーに使うと非推奨」といった、今まさにテーマやプラグインが引っかかっている変更は、検査の対象に入っていません。2026年に PHP を上げる人が確かめたいのは 8.3 か 8.4 への対応なので、仮に結果が返ってきたとしても、答えにはなりません。


古い記事のスクリーンショットには「PHP 7.0」「7.1」と版を選ぶ欄が写っていますが、1.6 系にはありません。サポートフォーラムにも「どの PHP の版で検査するかを設定する場所が見つからない」という書き込みがあります(WordPress.org サポートフォーラム「Support for PHP 8.1」(2024年3月))。
代わりの確認は、手間の少ない順に3段階


1つの道具で全部を判定する方法は、もうありません。代わりに、手間の少ないものから順に重ねます。多くのサイトは1と2で足ります。
1. プラグイン一覧で最終更新と必要なPHPを見る
管理画面の「プラグイン」一覧で、使っているプラグインを1つずつ見ます。見るのは次の3点です。
- 最終更新: 「詳細を表示」を押すと出ます。2年以上更新が止まっているものは、PHP 8.1 以降の変更に追いついていない可能性が高い
- 「WordPress の最新3回のメジャーリリースでテストされていません」の表示: WordPress.org のそのプラグインのページに出ます。開発が止まっているしるし
- 必要な PHP: WordPress.org のページの右側に「PHP バージョン: 7.4 以上」のように出ます。ただし、これは「最低これ以上」という下限で、「8.4 まで動く」という上限ではありません
3つ目の点は誤解されやすいので補足します。WordPress は 5.2 から、プラグインが必要とする PHP の版がサーバーより新しいと、有効化と更新を止めるようになりました。これは「古い PHP で新しいプラグインを動かさない」ための仕組みで、「新しい PHP でこのプラグインが動くか」は判定していません。サイトヘルスも同じで、「PHP が古い」という警告は出しますが、テーマやプラグインの互換性は見ていません(WordPress.org「Site Health Screen」)。
この段階で「2年以上更新なし」のプラグインが見つかったら、代わりのプラグインを探すか、機能をあきらめるかを先に決めてしまうのが早道です。テーマも同じで、販売元のサイトで PHP 8.3 や 8.4 への対応がいつの版で入ったかを確かめ、それより古い版を使っていれば先に更新します。
2. テスト環境で PHP を切り替えて動かす
機械の検査より確実なのは、実際に新しい PHP で動かしてみることです。本番では試さず、本番のコピーを作って試します。
エックスサーバーやさくらには、本番と同じ内容を別の場所に複製する機能があります。手元のパソコンに作るなら、Local(localwp.com)のような無料ツールで WordPress を立て、本番のバックアップを入れます。
切り替え方はPHPバージョンアップの記事にサーバー5社分をまとめています。切り替え先は 8.3 か 8.4 のどちらか。8.2 は 2026年12月でセキュリティ修正が終わります。
wp-config.php に WP_DEBUG と WP_DEBUG_LOG を有効にする3行を足し、トップページ、記事、固定ページ、管理画面、フォームの送信まで一度ずつ通します。wp-content/debug.log に「Fatal error」「Deprecated」の行がたまります。
ファイルの場所に themes とあればテーマ、plugins とあればプラグインです。Deprecated は動作が止まらない警告なので後回しでよく、Fatal error が1つも出なくなれば、本番の切り替えに進めます。読み方は同じ記事の debug.log の節に書いています。
この方法の強みは、有料テーマも自作テーマも、プラグインどうしの組み合わせも、全部まとめて実際の動きで確かめられることです。PHP Compatibility Checker が動いていたころにも拾えなかった「実行して初めて出るエラー」が、ここで見つかります。
3. コードを機械で検査する(技術者向け)
テーマやプラグインのファイルを、PHP そのものに読ませて構文の問題を探す方法です。2つあります。
- php -l(構文チェック)
-
PHP に付属の機能で、ファイルを「読み込んだ時点で出るエラー」だけを検出します。PHP 8.0 で消えた書き方による Fatal error や、PHP 8.4 の「暗黙の nullable 型」の非推奨はこれで見つかります。実行して初めて出るエラーは見つかりません。新しい PHP をパソコンに入れて、プラグインのフォルダごとかけます。
- PHPCompatibilityWP(PHP_CodeSniffer のルール集)
-
PHP Compatibility Checker の中身として使われていたのが、この公開ライブラリです。今も開発が続いていて、WordPress 向けに誤検知を減らした版が PHPCompatibilityWP です。導入は Composer 経由のみで、PHP 8 系の検査には開発版(10.0 系)が必要と README に書かれています(GitHub「PHPCompatibilityWP」README)。コマンドラインが使える人向けです。
当社では 1つ目の方法を、WordPress.org の主要なプラグイン約60本に PHP 8.5 でかけてみました。結果の一部を載せます。
| プラグイン(版) | PHP 8.5 の構文チェックの結果 |
|---|---|
| Elementor 4.3.5 | 4件の Deprecated(PHP 8.4 の暗黙の nullable 型)。条件がそろうと管理画面にログインできなくなる件は、修正が次の版に入る予定 |
| Advanced Custom Fields 6.8.10 | 0件 |
| Custom Post Type UI 1.19.3 | 0件 |
| Japanized for WooCommerce 2.9.20 | 0件 |
| WP Social Bookmarking Light 2.0.7(2023年に配布停止) | Fatal error(PHP 8.0 以降は有効にしているだけで真っ白になる) |
| Count per Day 3.6.1(2019年に配布停止) | Fatal error(PHP 8.0 で消えた書き方) |
この表で分かるとおり、検査で出るのは「配布が止まった古いプラグインの Fatal error」と「最新版にも残っている Deprecated」の2種類です。前者はそのプラグインを外す判断の根拠になり、後者は「動くが、将来の PHP で止まる可能性がある」という目安になります。



1と2をやれば、ほとんどのサイトは判断できます。3は、お客さんのサイトに自作テーマが入っていて、中身を全部読む時間が無いときに、当たりを付けるために使っています。
すでに入れてあるなら、削除してよい
昔の記事の手順で入れたまま残っているサイトは多いはずです。動かないだけなら害は小さいのですが、公式の警告文にあるとおり、今後はセキュリティ修正が出ません。使う予定の無いプラグインは、停止ではなく削除まで行ってください。削除しても、WordPress 本体やほかのプラグインには影響しません。
「代わりのプラグインはありませんか」とよく聞かれますが、2026年10月の時点で、WordPress.org に同じ役割を保守つきで果たしているプラグインは見つけられませんでした。WordPress.org が公式に配布している「Plugin Check」というプラグインは、プラグイン開発者が自作のプラグインを公式ディレクトリの基準に合わせるための道具で、PHP の版ごとの互換性を調べるものではありません。
確認を自分でやる時間が無い、テーマが古くて切り替えるのが怖い、という場合は、バージョンアップ代行で、上の1〜3の確認からテスト環境での切り替え、本番の切り替え後のフォーム送信までを行っています。プラグイン一覧の画面を送っていただければ、危なそうなものの見当は無料でお伝えします。
よくある質問(FAQ)
- PHP Compatibility Checker を入れたら「failed」ばかり出ます。やり直せば直りますか?
-
直りません。プラグインが結果を取りに行く先の wptide.org が 2026年10月に消えているので、何度押しても同じ表示になります。開発元の保守も終わっているので、修正版も出ません。
- 昔はちゃんと動いていました。いつから動かなくなったのですか?
-
手元で確認できた範囲では、Wayback Machine に wptide.org の正常な保存が残っているのは 2026年6月6日が最後で、ドメインの登録状態が変わったのが 2026年10月18日です。この間のどこかで止まったと考えられます。それ以前も、検査できたのは PHP 8.0 までで、8.1 以降の変更は見ていませんでした。
- 「必要な PHP: 7.4 以上」と書いてあるプラグインは、PHP 8.4 でも動きますか?
-
この表記は下限なので、8.4 で動く保証にはなりません。最終更新が最近で、WordPress.org のページに「最新3回のメジャーリリースでテストされていません」の表示が出ていなければ、動く可能性は高いですが、確かめるにはテスト環境で実際に切り替えるのが確実です。
- サイトヘルスで「PHP が古い」と出ます。これは互換性の警告ですか?
-
違います。サイトヘルスは「今の PHP の版が古い」ことだけを知らせていて、テーマやプラグインが新しい PHP で動くかは見ていません。切り替える前の確認は、この記事の1〜3で別に行います。
- テスト環境を作るのが難しいです。本番で切り替えて、だめなら戻してもいいですか?
-
サーバーの管理画面で元の版にすぐ戻せるなら、アクセスの少ない時間帯に限って、その方法を取る人もいます。ただし戻すまでの数分間はサイトが表示されず、フォームの送信エラーのように「表示は正常だが一部だけ止まる」不具合は、戻した後に気づくこともあります。企業サイトやお問い合わせが売上に直結するサイトでは、テスト環境を勧めます。
- PHP を上げないと、何が困るのですか?
-
古い PHP には修正が出ません。2026年10月の PHP 本体の脆弱性では、8.1 以前に修正版が出ませんでした。また Contact Form 7 のように、PHP 8.3 以上でないと更新できないプラグインも出てきています。詳しくはPHP の脆弱性の記事とContact Form 7 の記事に書いています。
- 使用中のテーマ・プラグインの PHP 8.3/8.4 対応を、最終更新・必要PHP・コードの検査で確認(無料診断)
- テスト環境で実際に PHP を切り替え、debug.log のエラーを1件ずつ確認
- 引っかかったテーマ・プラグインの修正、更新、乗り換えまで
- 本番の切り替えと、切り替え後のフォーム送信までの確認
- 営業の電話・メールはしません
合同会社キューブリック まずは状況をお聞かせください。作業前に内容と金額をお伝えし、追加料金はいただきません。
代表社員 / WEBエンジニアプラグイン一覧の画面と、サイトヘルスの PHP バージョンを送っていただくだけで構いません。相見積もり歓迎・営業はしません。

