拠点移転のお知らせ ― 快生館での日々に、ありがとう
このたびキューブリックは、登記および活動の拠点を福岡県古賀市から福岡市博多区へ移転することになりました。
移転の背景には、私たちが拠点としてきたインキュベーション施設「快生館」の閉館があります。事務的なお知らせだけで済ませることもできたのですが、ここでは少しだけ、この場所で過ごした日々を振り返らせてください。
古賀市経営戦略課「インキュベーション施設「快生館」運営の総括について」
快生館という場所
快生館は、もともと温泉旅館だった建物を改装して生まれ変わったインキュベーション施設です。

古賀市にとっては、近隣で唯一の天然温泉でもありました。古賀市を示す道路標識には温泉マークが添えられていて、「古賀といえば温泉」と言えるような、この土地の象徴のひとつだったと思います。

私はもともと東京で働いていて、こうした古賀市の魅力に惹かれて移住してきました。だからこそ、この場所がなくなってしまうのは、本当に残念でなりません。
お風呂よりも惹かれていたもの
正直に言うと、温泉そのもの以上に私が価値を感じていたのは、異業種の人たちが自然とつながっていくコミュニティでした。ここでの出会いから、実際に仕事をいただいたこともあります。
独立して強く感じたのは、想像以上の孤独でした。意識していないと、一日のうち家族以外の誰とも話さない、ということが当たり前になっていきます。自宅の作業場と快生館、ふたつの場所を行き来することで、私はようやく仕事にメリハリをつける環境をつくることができました。
24時間いつでも自由に使えたのもありがたく、夜遅くまで没頭できる環境は本当に貴重でした。夜になると、虫の声と、遠くでシカが鳴く声が聞こえはじめます。まるでお化け屋敷のような雰囲気になるのですが、それはそれで嫌いではありませんでした。
とくにお気に入りだったのは、誰もいない日曜日の快生館です。大広間の窓を全開にして、ただひたすら目の前の仕事に没入する。あの集中の時間は、ちょっと他では得がたいものでした。
ひとつ、心残りなこと
これは私の個人的な見方ですが、運営委託会社が撤退を決めた背景には、さまざまな批判の声があったのではないかと感じています。
良くない点を指摘すること自体は、決して悪いことではありません。むしろ大切なことだと思います。けれど、目先の数字だけでなく、10年後の街の姿を一緒に思い描きながら、批判するなら代替案もセットで出し合い、足並みを揃えて折衝していけたなら ―― この街の魅力は、失われずに済んだのではないか。そんなふうに思ってしまうのです。
スタートアップでディレクションや開発に携わってきた自分の経験と、つい重ねてしまうところがあって、だからこそ少し悔しい気持ちが残っています。
そして、博多区へ
そんなわけで、キューブリックは福岡県古賀市から福岡市博多区へと拠点を移し、新しい場所で気持ちも新たにやっていきます。
快生館で過ごした半年間は、たくさんのひらめきが生まれ、さまざまなお客さまの課題を解決し、頭の中にあった数々の構想を形にしてきた日々でした。
ありがとう、快生館。



